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「書き出しの型が、前回とほぼ同じです」。公開前の下書きを読んだ校正役のAIから、そう戻ってきた。直したはずの場所を、また同じ理由で直すことになった。
うちでは、記事を書くAIと、それを読んで直すAIを分けている。5つのブログをそうやって回しているので、似た失敗が形を変えて何度も出てくる。今回は「AIの文章はなぜ不自然に見えるのか」という、自分たちもまだ繰り返しつまずいている話をまとめておきたい。
「AIっぽい文章」と二度言われた話

9月だけで、書き出しの型が前回と同じだという指摘が二度出た。16日に公開した記事は、ある立場を名乗る一文から始まっていた。18日公開分も同じ名乗りの型だったので、公開直前に言い換えた。ところが23日公開分は、その18日の書き出し(状況を描いてから名乗る形)とまた同じ型になっていた。結論から入る書き方に直すことになった。今回の記事にとりかかる時点で、名乗りと結論先行はどちらも使ったばかりだった。
直し方自体は間違っていなかった。むしろ毎回きちんと直していた。それでも同じ指摘が続いたのは、なぜだろうか。社内の運用ルールに書き出しの型として並べてあるのは、名乗り・問いかけ・いきなり結論・状況描写・ぼやきの5通りだ。前回と違う型を選んでいけば、三回目には残りが少なくなる。手持ちの少なさを数えないまま直していたのが、実際のところだった。
AIの文章が不自然に見える6つの特徴
先にAI側の一般論を整理しておく。複数の解説記事を照合すると、AIの文章が不自然に見える原因として共通して挙げられているのは、次の6点だ。
| 文末が単調 | 「〜です。〜ます。」が同じ調子で続く |
| 接続詞が文頭に集中 | 「また」「さらに」「したがって」をほぼ毎文の頭に置く |
| 構造化しすぎ | 短い内容でもすぐ見出し・箇条書き・表にしてしまう |
| 記号や引用符の多用 | アスタリスクやダブルクォーテーション、シャープで飾る |
| 判断を読者に預ける | 「場合によります」のような保険の言い回しが増える |
| 比喩が使い古されている | 地図や羅針盤のような、既視感のある例えに寄る |
どれも、直そうと思えば直せる技術的な癖だ。なかでも興味深いのは、こうした癖が生まれる理由の説明だった。「AIが意味を処理する内部の構造が英語に偏っており、英語的な語順や表現が日本語の文章にそのまま残る」という指摘である。単なる語彙の選び方の問題ではなく、もう少し根が深い話らしい。
参考:YOSCA(2026年2月24日公開・6月8日更新)/Solicio(2026年6月29日公開)/AI Advisors(2026年2月7日公開)
癖を全部消しても、AIの文章が不自然なままだった理由
うちの文章チェックの仕組みは、こうした癖をひとつずつ検出語として登録し、機械的にはじく形で作ってきた。文体を数値で合否判定する仕組みを使い、硬い言い回しについては校正役を足して直した話のとおり、言い換え表もそろえてきた。
それでも9月の指摘は止まらなかった。理由ははっきりしている。指摘されたのは個々の言い回しではなく、「毎回そろっていること」そのものだったからだ。書き出しの型を直しても、直した先の型を今度は毎回使えば、それがまた新しい型になる。チェック項目を足せば足すほど、その満たし方自体が次のそろい方になる。似た見落としは別の記事の記録でも触れたとおり、対策を入れたあとに同じ症状が形を変えて再発することが多い。
検出語を増やしすぎた失敗もある。ある文章チェックの運用で、不自然さを消すための検出語を当日中に追加したところ、本来は残したい自然な言い回しまで一緒にはじいてしまい、同じ日のうちに検出語を絞り込んだことがあった。項目を増やすほど守りやすくなるわけではない。その項目の満たし方自体が、新しい不自然さになることがある。
おもしろいのは、この結論は自分たちが失敗を重ねて後からたどり着いたものだったが、AI Advisorsの解説も「文章を整えるのではなく、あえて崩すこと」を核に据えていた点だ。表現の技術ではなく構造の話であるという理解は、外部の解説とうちの実感が別々に同じ場所へ着地していたことになる。
AIの文章でゆらすもの、ゆらさないもの
そこで社内では「ゆらぎの規範」という運用ルールを2026年9月に決めた。考え方はシンプルで、そろえてよいものと、そろえてはいけないものを最初に分けておく。
| そろえてよいもの(ゆらさない) | 事実の正確さ、価格・日付、プロモーション表記などの約束ごと。ここは100%守る |
| 書き出しの型 | 名乗り・問いかけ・結論・状況描写など。前回使った型は今回避ける |
| 文章の熱量・段落の長さ | 毎回同じ密度で書かない。長い段落と短い段落が混ざってよい |
| 締め方 | 毎回きれいに畳まない。話が続いたまま終わる回があってもよい |
| チェックリストとの付き合い方 | 満点を目指す採点表ではなく、下回っていたら硬いという下限の警告として使う |
今日からできる、AIの文章を崩す3つの工夫
個人で使う場合でも、考え方はそのまま使える。ひとつめは、前回どんな書き出しで始めたかを簡単でよいので記録しておくこと。同じ型を続けて使っていないか、書く前に見返すだけで防げる。ふたつめは、チェックツールの基準を満点ではなく下限として扱うこと。全項目を満たしにいくと、その満たし方自体がテンプレートになる。みっつめは、段落の長さと熱量を意図的にそろえないこと。1文だけの段落があってもいいし、今回はやけに長く書いてしまってもいい。
ここは焦らなくて大丈夫なところで、全部を一度に直そうとしなくていい。ひとつずつ試して、前回との違いを確認するくらいでちょうどよい。
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よくある質問
Q. チェックツールを増やせば、AIの文章の不自然さは消えますか。
A. 消えるとは限りません。チェック項目を増やすほど、その項目の満たし方自体がそろってしまい、新しい不自然さの原因になることがあります。チェックは下限を確認する道具として使い、満点を目指す採点表にはしないことをおすすめします。
Q. 毎回ルールどおりに書けば、AIの文章は自然になりますか。
A. ルールを毎回同じように守ること自体が、不自然さの原因になる場合があります。事実や約束ごとはそのまま守ったうえで、書き出しの型や文章の熱量、段落の長さは、前回と意図的に変えることをおすすめします。
まとめ
AIの文章が不自然に見えるのは、たいてい間違いのせいではない。チェックリストを守るほど、守り方までそろってしまうことのほうが多い。事実と約束ごとはそろえたまま、書き出しや熱量、段落の長さは前回と変えてみてほしい。それだけで、同じ内容でも急に人が書いたように見える瞬間がある。


